今回は、下唇の内側にできた「水ぶくれ」にお悩みの患者様の症例をご紹介します。
「口の中に水ぶくれのようなものができた」「一度潰れても、またすぐに膨らんでくる」という症状でご来院されました。
痛みはさほど強くありませんが、食事の際に邪魔になったり、気になって舌で触れてしまったりするとのことです。
■症状の診断:小唾液腺粘液嚢胞(しょうだえきせんねんえきのうほう)
診断の結果、これは一般的に「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」と呼ばれるものでした。
唇や頬の内側にある「小唾液腺(唾液を作る小さな工場)」の出口が、誤って噛んでしまったり傷ついたりすることで詰まり、行き場を失った唾液が袋状に溜まってしまう病気です。
■治療前後の比較
自然治癒することは稀で、再発を繰り返すことが多いため、原因となっている唾液腺を含めた摘出手術を行いました。
■治療の内容
当院で行った処置の流れは以下の通りです。
1.局所麻酔
痛みを伴わないよう、患部に麻酔を行います。
2.摘出処置
膨らんでいる袋(嚢胞)だけでなく、その下にある原因の「小唾液腺」も一緒に摘出します。
※ここを取り残すと再発のリスクが高まるため、丁寧に除去します。
3.縫合・抜糸
傷口を縫い合わせ、約1週間後に抜糸をして治療完了です。
| 術名 | 粘液嚢胞摘出術(液状のう胞の除去) |
|---|---|
| 主訴 | 下唇の内側に水ぶくれができた、繰り返す |
| 治療内容 | 局所麻酔下での嚢胞および原因小唾液腺の摘出、縫合処置 |
| 通院回数 | 2回(手術当日・約1週間後の抜糸) |
| 費用 | 保険適用(3割負担):約4,000円 ※病理検査の有無や初診料等により変動します。 |
| リスク・副作用 |
・術後に多少の痛みや腫れ、内出血が出ることがあります。 ・原因となる唾液腺を取り残すと再発する可能性があります。 ・術部を刺激すると治癒が遅れる場合があります。 |

