歯科口腔外科

親知らずを抜かないとどうなる?抜かないメリットと残す場合の注意点

一般的に「親知らずは抜くべき」と言われることが多いですが、実際には抜かずに問題なく過ごしている人もいます。親知らずは生え方や位置、隣の歯との関係によって、適切な対応が変わります。今回は、親知らずを抜かないことで得られるメリットや、放置した場合のリスク、そして親知らずを残すと決めた時の注意点を解説します。
 

1. 親知らずを抜かないメリットと生活への影響

親知らずは、正しく生えていて噛み合わせや口腔内環境に悪影響を及ぼさない場合は、必ずしも抜く必要はありません。以下に、親知らずを抜かない場合の主なメリットを解説します。

①不必要な外科処置を避けることができる

親知らずに問題がない場合、無理に抜歯を行わずに済み、不要な外科手術を避けることができます。特に全身疾患や持病がある方にとって、抜歯はリスクとなることがあるため、抜かない選択肢が検討されることがあります。

②将来的なトラブルに備えて利用できる可能性がある

将来、親知らずをブリッジの支えとして活用できる場合もあります。また、他の歯を失った際に、親知らずを移植する治療が行える可能性もあります。このように「予備の歯」としての価値もあるため、安易な抜歯を避けるケースもあります。

③費用や通院回数を抑えられる

抜歯には治療費用や術後の通院が必要となるため、医療面でも経済面でも一定の負担があります。抜かずに経過観察を選べば、これらのコストを抑えることもできます。

④痛みや腫れなどのダウンタイムがない

抜歯後は数日から1週間程度、痛みや腫れ、場合によっては発熱や口が開きにくくなることがあります。抜歯を避けられれば、こういった術後の不快な症状を経験しないという点も、メリットの一つと言えるでしょう。

⑤口腔内の自然なバランスを維持できる場合も

まっすぐ正常に生えていて噛み合わせに貢献している親知らずは、他の歯と連携して咀嚼機能を支える役割を果たしていることもあります。無理に抜くことで、かえって噛み合わせが不安定になる場合もあるため、慎重な判断が求められます。

以上のように、親知らずは「抜かないこと」にも理由がある歯です。ただし、それが「本当に抜かなくてよい状態かどうか」を正確に判断するには、歯科医師の診断が欠かせません。
 
 

2. 親知らずを抜かずに放置するとどうなる?

親知らずは一見問題がないように見えても、時間が経つにつれて少しずつトラブルの原因となることがあります。以下に、放置することで起こりやすい影響を解説します。

①むし歯や歯周病の原因になることがある

親知らずは一番奥に位置しており、歯ブラシが届きにくいため、汚れがたまりやすい環境です。そのため、清掃が不十分になりがちで、むし歯や歯周病が進行しやすくなることがあります。特に、手前の第二大臼歯にも影響が及ぶことが多く、健康な歯を巻き込むリスクもあります。

②智歯周囲炎による腫れや痛みが出ることも

部分的に歯ぐきから頭を出している親知らず(半埋伏歯)は、細菌が溜まりやすく、智歯周囲炎と呼ばれる炎症を引き起こすことがあります。これにより歯ぐきが腫れたり、口が開きにくくなる、飲み込むときに痛みを感じるといった症状が現れることもあります。

③隣接する歯への悪影響

横向きや斜めに生えている親知らずが、前方の歯を押すことで、歯並びが乱れたり、噛み合わせに悪影響を与えたりするケースがあります。特に矯正治療を受けた経験がある方は、歯列の後戻りの原因になることもあるため、注意が必要です。

④全身症状を引き起こすリスク

炎症や感染が進行すると、口腔内にとどまらず、発熱や倦怠感などの全身症状につながることもあります。特に免疫力が低下している時期は注意が必要です。

このように、「今は痛くないから」といって放置すると、将来的により大きなトラブルにつながる可能性があることを理解しておきましょう。親知らずがどのような状態か、痛みや腫れの兆候がないか、定期的に確認することが大切です。
 
 

3. 親知らずを残す場合の注意点

親知らずは奥にある歯だからこそ、見えにくく、変化に気付きにくいという特徴があります。以下に、親知らずを残す場合の注意点を解説します。

①毎日のセルフケアを徹底する

親知らず周辺は歯ブラシが届きづらく、磨き残しが発生しやすい場所です。毛先の細い歯ブラシやタフトブラシ(小さなブラシ)を使って、親知らずの周囲を重点的に磨く習慣をつけましょう。デンタルフロスや歯間ブラシを併用するのも有効です。

②定期検診を欠かさない

自覚症状がない場合でも、半年に一度は歯医者でのチェックを受けることが望ましいです。レントゲンによる確認で、埋伏した親知らずの位置や、隣の歯への影響を早期に発見できる可能性があります。

③痛みや腫れの前兆を見逃さない

「うずく」「噛むと違和感がある」「歯ぐきがぷっくり腫れている」といった違和感は、親知らず周辺のトラブルの前触れであることが多いです。異常を感じたら、早めに歯医者を受診することがトラブルの早期解決につながります。

④状態の変化に応じて対応を見直す柔軟さも必要

若い頃は問題がなかった親知らずも、加齢や噛み合わせの変化、骨密度の変化によって影響が出てくることもあります。「以前は問題なかったから今後も大丈夫」とは限らないため、長期的な視点で対応を考えることが大切です。

親知らずを抜かない選択をするなら、それに伴う“管理の責任”も自分自身が担うことになります。自己判断で放置せず、歯科医師と二人三脚で口腔内の状態を維持する意識が求められます。
 
 

4. 横浜市緑区の歯医者 長津田おさまる歯科クリニックの親知らず抜歯治療

横浜市緑区 長津田駅近くの歯医者 長津田おさまる歯科クリニックでは、長年口腔外科治療をしてきた院長が痛み・腫れをできるだけ抑えた親知らず抜歯を行っています。
無理に治療はせず、患者さんに負担がかからない治療を心がけており、患者さんのお口の中だけではなく、表情の変化や体の反応などを確認しながら治療を進めます。

長津田おさまる歯科クリニックが選ばれる理由

①難しい親知らず抜歯の対応も可能

親知らずが顎骨や歯茎の中に埋まっていたり、歯の根っこの形が複雑だったりすると、歯肉を切開したり骨や歯を削ったりする必要があるため、抜歯する難易度が上がります。そのような親知らずでも、当院では対応可能なケースが多いです。
※CT撮影後、医師が判断を行い、患者さんのリスクが高い場合は大学病院を紹介させていただく場合もございます。

②複数本抜歯など抜歯プラン多数

一般の歯科医院では、親知らずの即日抜歯には対応していません。当院でも、基本的には即日抜歯は推奨しておりませんが、患者さんのご要望と口腔内のご状況によっては精密な診査・診断の上で即日抜針の対応が可能なケースもあります。
また、複数本抜歯にも対応しているため、何度も抜歯に来ていただくことなく1回で抜歯を済ませたい方にはおすすめです。
※口腔内の状態次第では、即日抜歯を行えない場合や大学病院を紹介させていただく場合もございます。

③静脈内鎮静麻酔で眠ったような状態で抜歯ができる

抜歯で最も不安に思われる点は痛みだと思います。麻酔時や抜歯時の痛みを抑えるため、静脈内鎮静法での麻酔の対応が可能です。
静脈内鎮静法とは、静脈注射で抗不安薬や静脈麻酔薬などを使用し鎮静状態にするものです。眠ったような状態となり、痛みを抑えた状態で抜歯を行うことができます。

④痛みを抑えるための短い抜歯時間

親知らずの抜歯にかかる時間は身体への負担が少なくなるため短い方が良いです。時間が長くなると治療後の痛みや腫れがひどくなる可能性があります。
まっすぐキレイに生えている親知らずなど、簡単なケースであれば、抜歯だけなら最短1分ほど対応が可能です。
また、横向きに生えて顎骨や歯茎の中に埋まっている難しい親知らずの場合でもほとんどのケースで30分前後で抜歯ができます。
※親知らずの生え方によっては1時間程度かかる可能性もございますが、まずはご相談ください。
 
 

まとめ

親知らずを抜かずに残すかどうかは、その歯の状態や周囲の環境によって判断が異なります。まっすぐ生えていて噛み合わせに貢献している場合は、無理に抜く必要はありません。一方で、横向きに生えていたり清掃が行き届かない場合には、むし歯や歯周病などのリスクが高まる可能性があるため、抜歯が推奨されることもあります。親知らずをどう扱うかは、見た目ではわからない部分も多いため、歯科医師による専門的な診断が欠かせません。

横浜市緑区 長津田駅周辺で親知らずの抜歯を検討されている方は、長津田おさまる歯科クリニックまでお問い合わせください。
 

監修:長田 裕行


経歴:
昭和大学歯学部卒業
北海道大学予防歯科医局
熊澤歯科クリニック研修
神奈川県内歯科クリニック分院長
長津田おさまる歯科クリニック開業

関連記事